Intel Mash Makerとクライアントサイドマッシュアップ、普及という意味でのスケーラビリティ

Intelの研究所で開発された同製品は、グラフィカルデザインツールを搭載する点において「Yahoo Pipes」や「Microsoft Popfly」などの既存のマッシュアップツールに似ている。

 それらと異なるのは、Intel Mash Makerによる情報の実際のマッシュアップが、サーバではなくクライアント上で実行される点である。

インテル、「Mash Maker」を公開--一般ユーザー向けマッシュアップツール - CNET Japan

「クライアント上で実行される」という言葉の行間にある「Webブラウザ上で動く」ってところはポイント。PipesPopflyと並べられてマッシュアップツールっていわれてるけど、使われ方ってきっと全然違うよね。Mash MakerはWebの切り出し、リライト、スクリプトを書かないGreasemonkey。共有機能もあるみたいだから+Wedataみたいな感じ。

クライアントサイドマッシュアップって、サーバサイドのそれと違って、負荷は各クライアントに分散されるので、基本的にスケーラブルになる。あと、常にクライアントから直にデータソースにアクセスするので、サーバサイドマッシュアップでの代理リクエストへの資格証明の受け渡し方法とか、そういった小難しいこともあまり考えなくていい。さらに、もっともユーザに近いところで動作するので、入力が迅速に届き、コンテキストも理解できる。これらが主な利点。たぶんIntel Mash Makerはそれを十分に活かしているような気がする。

でもMash Makerの場合はブラウザ拡張機能のインストールが必要なので、必然的に普及という意味でのスケーラビリティはそれに依存してしまう。現状、URLをクリックすることに比べて新規拡張機能IEならプラグイン)を導入する方が心理的障壁は高い。心理的なものだけじゃなく、リテラシーの面もあるし、企業だったらITガバナンスもある。つまり、普及について語るときは、それがみんなにとってURLをクリックするのくらいあたりまえになる世界がやってくるはず、という強い前提を置かなければならない。

もちろん、その世界ででしか新しいエクスペリエンスを提供できないのだったら、そういう方向に世界を持っていくように努力するのが本筋かもしれない。でも、わざわざ世界が変わるのを待たなくとも、今の枠組みの中でも提供できるのだったら、もっと多くの人に届く可能性があるよな?

話は飛ぶけど、Google GDataのJavaScript APIでクロスドメインを実現しているものの内部を調べてた時、それがマイナーなhackの塊だと気づいて、それを仮にも本サービスのAPIとして公開しちゃった彼らのわけわかんなさに感動したけど、用は世界はすぐには変わらないという悲観的かつ現実的な視点の上に立って、今の世界の枠組みの中で、サービスをできるだけ数多くの人に届けるための仕組みを作りだしたというところは、これまた技術といっていいのだと思った。Google Mapsは昔すぎてもう当たり前だけど、あれも多分そうなんだと思う。